3Dバーチャルツアーを導入したいけど自作するのと撮影代行業者に外注するのでは料金的にどちらがお得なのかな?
今後の運用面や自作に掛かる手間も知りたい。
こんなお悩みを解決する記事を書きました。
2010年にGoogleでベンダー社員として働き始め、今までに3,000件以上の室内版ストリートビューを撮影してきました。現在は株式会社ブリッヂというバーチャルツアー制作の会社を経営しています。
この記事では3Dバーチャルツアーを自作する為に必要となる手順や機材、掛かる費用の詳細を説明し、その上で撮影代行を依頼する場合の費用と比較して貰えるように解説していきます。
状況によっては自分で撮影してもらった方がお得な場合も多々ありますので、記事を読んで検討して貰えれば幸いです。
自作する場合の料金
3Dバーチャルツアーのホスティング料金
3Dバーチャルツアーを使用するにあたり、システム提供会社のアカウントを作成してホスティングプランを選択する必要があります。
- Free:無料(1アクティブスペース:2ユーザー)
- Starter:14,400円/年(5〜アクティブスペース:3ユーザー)
- Professional:84,000円/年(20〜アクティブスペース:10ユーザー)
- Business:420,000円/年(100〜アクティブスペース:50ユーザー)
- Enterprise:別途見積もり(カスタマイズ可能)
- 無料からエンタープライズまで5種類のプランがあります
- アクティブスペース数はウェブ上に公開できるバーチャルツアーの数を表しています
- ユーザー数はバーチャルツアー編集権限を付与できる人数となります
詳細な内容は公式サイトを見て頂ければと思いますが、ここでは皆さんが自作するか外注するかを判断するのに必要となる項目に絞って説明していきます。
プラン選択のポイント
プランについて、以下のパターンで違いを説明します。
- 【Free】と【Starter】の違い
- 【Free、Starter】と【Professional】の違い
※Business、Enterpriseは大企業向けのプランで、出来ることはProfessionalとあまり変わらないので説明を省略します。
【Free】と【Starter】の違いは公開できるツアー数です。無料の場合はバーチャルツアーを1件だけweb上に公開する事ができ、スタータープランでは5件まで公開できます。
1施設だけを撮影したい場合は無料プランでOKです。
スタータープランを選択するのは、数店舗を撮影してまとめて管理したい場合などになります。
【Free、Starter】と【Professional】の違いは、使用できる機材と3Dデータ書き出しの可否になります。
【Free、Starter】ではスマートフォンと市販の360度カメラを使用する事ができます。
【Professional】では、上記に加えて3Dスキャナ機能を搭載したプロ向け3Dカメラを使用する事ができます。
(税込定価表記)
- スマートフォン(iOS、Android)
- THETA Z1(51GB):132,800円
- THETA SC2:36,800 円
- THETA SC2 forBusiness:39,800 円
- Insta360 ONE X2:54,780円
- Insta360 ONE R:51,580円
- 【Free、Starter】で使用できる機材全て
- プロ向け3Dカメラ:$3,395(約390,000円)
- Leica BLK360:最小価格 $18,500(約213,000円)
【Professional】ではプロ向けの機材を使用して高精細な写真と精度の高い3Dモデルを作る事ができます。また、別途料金がかかりますが、3Dモデルのデータをダウンロードする事ができるので、外部ソフトで読み込むことで建築設計やゲーム制作など別の用途でデータを使用する事ができます。
3Dデータの外部活用を考えていない方にとっては、無料とProfessionalのツアー数以外の差は高画質なカメラを使えるかどうか、という事になります。
次の項目でスマートフォンと プロ向け3Dカメラ で制作したサンプルを掲載しますので、画質や3Dモデルの品質を比較してみてください。
画質の比較
上がiPhone 12 Pro MAX、下がプロ向け3Dカメラの画像です。
差が分かりづらく恐縮ですが、ズームしてみるとプロ向け3Dカメラの方が高精細なため、iPhoneでは潰れてしまっていた文字が読めるようになっています。全体の色味もプロ向け3Dカメラの方が綺麗です。
3Dモデル品質の比較
こちらも上がiPhone 12 Pro MAX、下がプロ向け3Dカメラとなります。
3Dモデルもやはりプロ向け3Dカメラの方が品質が高く、画面端の棚やライトの傘がしっかりとモデリングされています。平面図の方では天井のシーリングライトを認識できていて、画面内に円が表示されています。
実際のツアーで比較
実際に操作できるサンプルをご用意しましたので、操作して比較してみてください。
🔽 iPhone 12 Pro MAX
※全画面表示はこちら
🔽 プロ向け3Dカメラ
※全画面表示はこちら
サンプルを見て頂くと、プロ向け3Dカメラで撮影した写真の方が確かに綺麗なのですが、iPhoneでも特に問題なく撮影できている事がわかると思います。それを踏まえてタイプ別のおすすめプランと機材を紹介していきます。
まとめ:どのプランを選ぶべきか
以下のパターンで解説していきます。
- 自分のお店や会社など1施設だけを撮影したい場合
- 高画質でなくても良いので複数の施設を撮影したい場合
- 多くの施設を高画質で撮影したい場合
- おすすめプラン:Free
- おすすめカメラ:スマートフォン(iPhone 12 Pro 以上推奨)
- 料金:0円
小規模なお店や施設などを1件だけ撮影する場合はスマホを使って無料で撮影するのがおすすめです。
※スマートフォンでの撮影方法はこちらの記事で詳しく解説しています。
1施設だけ高画質、高品質な撮影を行いたい場合は後半で説明する撮影代行の依頼をおすすめします。
◯撮影する件数が20件以下
- おすすめプラン:Starter
- おすすめカメラ:スマートフォン(iPhone 12 Pro 以上推奨)
- 料金:維持費14,400円 / 年
撮影する件数が20件以下ならスマホの撮影でも対応可能です。初期費用がかからない為、料金はStarterプランの年額14,400円だけになります。
スマホで撮影するのが大変だと感じる場合は360度カメラを使うと良いでしょう。カメラは画質と価格のバランスが良い Insta360 ONE X2 をおすすめします。また、撮影時にカメラを設置する為のスタンドも必要になります。
- おすすめプラン:Professional
- おすすめカメラ:プロ向け3Dカメラ:約390,000円
- おすすめ三脚:Manfrotto 190go! M-lock:24,164円(変動あり)
- おすすめクイックシュー:SLIK DS-30:6,673円(変動あり)
- 料金:初期費用 約420,000円、維持費84,000円 / 年
多くの施設を高画質で撮影したい場合はこちらになります。
ただ、プロ向け3Dカメラが高額なため、距離の離れた店舗や物件をたくさん撮影する場合はカメラを複数台購入するコストと、1台を使い回す場合の移動にかかるコストを比較して検討して下さい。
撮影代行を依頼する場合の料金
ここまで説明をさせて頂いたように3Dバーチャルツアーは自作可能なのですが、ここからは撮影代行を依頼した場合の料金と、外注した方がお得になるケースを紹介します。
撮影代行を依頼する場合であっても、ホスティング契約はご自身で行う必要があります。撮影代行会社が撮影〜3Dモデルに構築したデータをご自身が契約したアカウントに移譲してもらう事で3Dバーチャルツアーを使用できるようになります。
撮影代行会社の見積もりに維持費が含まれている場合がありますが、撮影代行会社のアカウントでホスティングを行い、維持費を支払う事は規約違反となっています。必ずご自身でホスティングプランを契約する必要がありますのでご注意下さい。
3Dバーチャルツアー撮影代行の見積もり項目
3Dバーチャルツアーの撮影料金設定は撮影代行会社によってまちまちですが、見積もりの項目は通常以下のパターンとなります。
- 基本料金(相場:35,000円)
撮影、編集、公開にかかる料金になります。業者によって80㎡まで等の面積が設定されており、範囲内の広さであれば基本料金のみで撮影が可能です。 - 追加撮影料金(相場:3,500円)
撮影する施設の面積が基本料金で設定されている面積を超える場合、面積ごとに追加される料金になります。 - コンテンツ埋め込み(相場:1,000円 / 個)
バーチャルツアー内にテキストや画像、動画を設置して、施設内の説明を表示させる事ができます。設置する数に応じたお見積もりとなります。 - ストリートビューとして公開(相場:10,000円)
3Dバーチャルツアーで制作した360度写真は、ストリートビューとしてGoogleマップに公開する事ができます。
撮影代行会社の料金比較
- 基本料金:35,000円(80㎡)
- 追加撮影料金:3,500円(追加10㎡ごと)
- コンテンツ埋め込み:1,000円 / 個
- ストリートビューとして公開:10,000円
撮影代行会社の半数以上が上記の価格帯となっています。
撮影代行を依頼した方が良い場合
撮影代行を依頼した方が良い場合は、以下のパターンです。
- 少ない施設を高画質、高品質な3Dモデルで撮影したい場合
- 継続して3Dバーチャルツアーの制作を行わない場合
高画質で撮影するためのプロ向け3Dカメラをご自身で用意する場合、初期費用として40万円以上が掛かるため、2、3件程度の施設を撮影したいのであれば撮影代行を依頼した方がお得です。
自作の場合、機材費や維持費の他に3Dバーチャルツアーを撮影、編集出来るようになるまでの人的・時間的コストが掛かるため、今後継続して撮影を行わない場合や社内のリソースを割きたくない場合は外注をおすすめします。
自作と外注を選択する為の料金シミュレーション
最後に自作と外注を選択する上でボーダーとなる件数のシミュレーションをしてみたいと思います。
高画質のプロ向け3Dカメラを使用しなくて良い場合は金額的には「自作一択」になりますのでこちらの記事を参考にしてやってみて下さい。
・カメラ、機材購入費用:420,000円
・維持費:Professional / 年:84,000円
※プロ向け3Dカメラで撮影したデータを3Dモデルとして構築する場合、Professional以上のプランが必要になります。
・撮影代行基本料金(80㎡まで):35,000円
・維持費:Starter / 年:14,400円〜
※撮影代行会社がプロ向け3Dカメラで撮影・構築したデータを、ご自身のアカウントで受け取る場合、Starterプランで対応が可能です。
↓
✅ 外注14件で自作費用を上回る
外注14件の費用合計:533,200円
・撮影料金:35,000×14=490,000円
・維持費:43,200円(アクティブスペース15の場合)
80㎡の施設の場合、14件未満の撮影数であれば外注の方がお得です。
・カメラ、機材購入費用:420,000円
・維持費:Professional / 年:84,000円
※プロ向け3Dカメラで撮影したデータを3Dモデルとして構築する場合、Professional以上のプランが必要になります。
・撮影代行基本料金(80㎡まで):35,000円
・追加撮影料金:3,500×7=24,500円
・維持費:Starter / 年:14,400円〜
※撮影代行会社がプロ向け3Dカメラで撮影・構築したデータを、ご自身のアカウントで受け取る場合、Starterプランで対応が可能です。
↓
✅ 外注7件で自作費用を上回る
外注7件の費用合計:504,800円
・撮影料金:59,500×8=476,000円
・維持費:28,800円(アクティブスペース10の場合)
150㎡の施設の場合、7件未満の撮影数であれば外注の方がお得です。
上記の試算には自作の場合の人件費が含まれていませんので概算となりますが、ボーダー件数を参考に、撮影、編集の専任スタッフを置く事ができれば自作、難しい場合は外注というように使い分けて頂ければと思います。
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